2008年 06月 11日
新作の感想と自省。
単行本だけど買ってしまったのは、書き出しにやられたせい。
毎日が気怠い。疲れがたまっているのだ。半年ほどまえに就職したが、それ以来、定休日を除いて、毎日出勤しなければならなくなった。世間では、ごく当たり前のことかもしれないけれど、私にはこれが辛い。
これに続く次の文もいいです。無気力らしい主人公だ!きた!と言う感じ。それに、この書き出しだけ見ると森さんっぽくない。それがまた魅力(というか引力)で買ってしまった。
ものすごく小さい不動産会社の新入社員、という設定からくる会話も面白い。ミステリーじゃない森作品として、スカイクロラシリーズよりずっと読みやすいのも新鮮。
スカイクロラは高校時代に読んでたらもっと入れ込んで読めたかもしれない。一種の「どんより」が立ち込めた世界で。それは、自分の状況をどんよりじゃない方向へ持っていける可能性も持っていながら、そちらに賭ける意志がないせいだと思う。
つまり、失望感に満ちているように感じられる、から暗いと思うのだろう。
飛躍するけど、以前は「暗いのが欲しかった」と思う。
暗いとか、反抗的とか、反社会的とかそういうものに触れていたい気持ちが強かった。(それでも度が過ぎるのは嫌い)なぜそう思っていたんだろうか、と少し考えてみればまず自分自身がそっちサイドにいると思っていたからだろうな。楽観的なことよりも悲観的なことのほうがリアルだった、だからそういうものばかり欲してたんだと思うのですよ。
・・ってことはリアルが欲しかったのか。
自分にも自分以外にも期待できること、これが現実的に思えず、失望すんのが嫌なせいもあって現実的に考えてプラン立てる前に門前払いしていたんだと思うのです。
そんな自分と近いと思い込んで暗いのを好んで接してたんじゃないかと。
スカイクロラはその点、主人公たちは門前払いなんかしていないし可能性は考慮して選択的にあの状況に身を置いている。そのあたり私とは全く違う。
・・あれ?ということは失望感に満ちているというのは違うな。
うーん、そうか、私から見ると暗くて先がない状況を選んで、そこにいつづける話だから暗くみえる。というだけ。
(客観に徹するのは難しいな)
先がないと分かっている状況を選ぶのはおかしい、と思う私になっている。
向こう見ずだったのが確かに若さだとすれば、今私にある若さってどういうとこだろうか。
無知?
by scent12th
| 2008-06-11 13:37